大判例

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広島高等裁判所 昭和26(う)244 高裁判例

主 文

本件控訴を棄却する。

理 由

弁護人中山淳太郎の本件控訴趣意は別紙控訴趣意書記載の通りであるからその主

張の各点に対し当裁判所は次の通り判断する。

第一点について。原審に於ける証人A、B、C、D、E、F等<要旨>の各供述記

載によれば被告人と同人等とは平素全然交際のない間柄であることが窺われるから

たとえ被告人が</要旨>G協会の副会長であり右の者等が同協会の会員であつたとし

てもそのことだけで被告人と同人等との関係は公職選挙法第百三十八条第一項に所

謂密接な間柄にあるものとは言えない。又被告人において同人との関係が同条項に

所謂密接な間柄でないのに拘わらず密接な間柄であると誤信したとしてもそれは法

の不知であつて処罰を免れることはできない。要するにこの点に関する弁護人の論

旨は総て採用し難い。

第二点について。然しながら原判決挙示の関係証拠を綜合すれば原判決摘示の第

二事実を認定するに充分である。弁護人は原審の採用しなかつた証拠を捉え原審の

適法に認定した事実の誤認を主張するものである。尚公職選挙法第百四十三条によ

れば同条第一項第一号から第五号に掲げる場合の外は選挙運動のために使用する文

書図画の掲示を禁止している。而して原判決の摘示するところによれば被告人は各

選挙人居宅を訪問するにあたり鳥取市会議員候補者Hと墨書した巾約三寸の白布製

襷を肩にかけ以て右選挙人等に対し公職の候補者の名を表示する文書を掲示したと

言うのであり右は前示条項第一号から第五号までの何れにも該当しないことは同各

号の規定に照し明瞭である。されば被告人の右所為に対して公職選挙法第二百四十

三条第四号第百四十三条を以て問擬するに毫も差支えない。(尤も原判決挙示の法

条を見れば原判決は右所為に対し公職選挙法第二百四十三条第百四十六条を適用し

ておるものの如くであるが原判決の摘示事実に対しては公職選挙法第二百四十三条

第百四十三条を適用するのを正当とするけれども原判決の右法令適用の誤りは判決

に影響がないものと認めるからこの点において原判決を破棄しない)更にかかる行

政法規の違法性の錯誤は罪とならないと弁護人は主張するけれどもその首肯し得る

理由を発見し得ないのみならず右は法の不知であつて処罰を免れることはできない

ものというべきである。要するにこの点に関する弁護人の論旨は総て採用し難い。

以上の次第であつて本件控訴は理由がないから刑事訴訟法第三百九十六条を適用

して主文の通り判決する。

(裁判長裁判官 平井林 裁判官 久利馨 裁判官 藤間忠顕)

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